ほっとけやん 第176話

わかやま新報2021年12月2日掲載

農業を体験する中で心と体の回復を目指す       Rework支援センター「ANEW(アニュー)」開設   (和歌山県農業によるメンタルヘルス推進事業)

社会福祉法人一麦会 法人事務局次長 野中 康寛

 社会福祉法人一麦会では、以前から「休職して以来、自宅でひきこもっている」「主治医からは、休むように言われているが、気持ちが焦ってばかりでしんどい」「休職したが復職の見通しがたたない」などの相談が寄せられ、関連施設で職場実習(ボランティア)等の支援を行っていました。

 専門的に支援ができる機関や場所があれば、もっとスムーズに心と体の回復ができるのではないかと思っていたところ、今年度10月より農業(農作業体験)を通して生活リズムを整え、土と人との温もりの中で心の安定を図り社会参加を目指すという趣旨の和歌山県単独の事業が新設されました。今年度は、県内で2ヵ所の団体が受託され、そのうちの一ヵ所が一麦会となりました。

 うつ等を発症しメンタルヘルスに課題を抱えると、一人で悩み「自分が悪い」という自己否定の渦に取り込まれてしまい、自分自身の生きる道を見失います。

 一人で悩みを抱えても決して良くはなりません。休むことの重要性を伝え、回復への道筋を一緒に考える存在が必要です。そして、今までの価値観だけでなく、新しい価値観を一緒に発見することが重要かと思います。否定や急がされるだけの社会の一員ではなく、ありのままの自分で、その人らしさが発揮できる、そんな生き方(活き方)を一緒に模索することが必要です。

 具体的な事業内容としては、まず本人との面談の中で自身の状態を伝えていただき、利用についての判定を行います。そして、利用可能な状態である場合は、心の回復や社会参加までのプラン作りを一緒に行い、農業体験を緩やかにスタートさせようと考えています。いきなり農家さんのところで農業体験をすることは、かなりのハードルがあると思うので、最初は、自分のペースで緩やかにできる菜園づくり体験などをしながら生活リズムを整えていけたらと思います。生活リズムと活動の場が整ってくると実際にもう少し本格的な農作業の体験を考えています。

 十分な休養と見通しがもてるようになり、仲間と共にあなたらしい生き方を一緒に再発見しましょう。

 まだ、始まったばかりの事業ですが、ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

 お問い合わせ先

 社会福祉法人一麦会 Rework支援センター ANEW(アニュー)

 住所:紀の川市粉河853(山崎邸内)TEL:070・7671・1110