ほっとけやん 第194話

わかやま新報2023年5月18日掲載

学び合う そして 創り合う〜地域とともに 広がる 障害のある人の生涯学習活動〜

ゆめ・やりたいこと実現センター コーディネーター 尾方 千春

 社会福祉法人一麦会(麦の郷)ゆめ・やりたいこと実現センター(以降「センター」)は、文部科学省「障害者の多様な学習活動を総合的に支援するための実践研究」を受託し、紀の川市粉河の古民家山﨑邸を拠点に、「学び合う そして 創り合う」というテーマのもと、2018年より活動をスタート。2021年度からは「地域連携による障害者の生涯学習機会の拡大促進」と事業名が変わり、地方公共団体と連携・協力し、障害のある人たちの生涯学習活動が地域に根差すよう活動をしています。大変うれしいことに、2022年度もセンターの活動は文部科学省から高い評価をされました。これは、「知りたい」「興味がある」「得意なことを表現したい」という参加者のひたむきな思いと、「みんなと一緒に学び合いたい」という情熱を持った講師・ボランティア・行政関係者をつなぎ、学びの場を創ってきた結果だと思います。「気持ちや経験を話すことで、自分を肯定できるようになった」「学んだことを自分の職場で生かせた」「たまり場は、仲間やボランティアの人に会えてほっとできる居場所。仕事も頑張れる」「(講師として)参加者から学ばせてもらった」など、お互いに学び合うことで心の成長や生活の変化があったという貴重な経験を、和歌山県内外の人たちにも広く伝えていきたいです。【2022年度実績:夕刻のたまり場48回開催延べ676人、やりたいこと講座23講座・連続講座2講座延べ276人】

 「公民館の雰囲気がとても明るくなりました」そう話されたのは、紀の川市生涯学習課や公民館職員の皆さん。障害のある人と講師とが共に目を輝かせて活動する姿に心を打たれ、2022年度紀の川市公民館講座の事業化・開設に向けて動いてくださりました。コロナ禍のため一部中止になったものの、10回講座開催をし、延べ71人の参加がありました(センターは、紀の川市内2公民館・6講座(11回)の企画運営を協力)。参加者からの感想は、「楽しかった」という超えが大多数。「久しぶり!元気やった?」支援学校の元先生や友達と、卒業以来の感動の再会を果たした人たちも。2023年度は、紀の川市内4公民館8講座(19回)が開講しさらに充実する他、近隣の市町でも障害のある人の講座新設に向けて検討中。「楽しみにしています」「ぜひ参加します」と、障害のある人・支援者・家族・講師から期待の声が続々寄せられ、障害のある人の公民館講座が望まれていることを痛感しています。また、講座や居場所活動をサポートする人を養成する「サポ−ター養成講座」も今夏に企画中。今後も障害のある人の豊かな生涯学習活動を、地域の皆さんと共にいきいきと楽しく創り広げていきたいです。