ほっとけやん 第196話

わかやま新報2023年7月6日掲載

「笑顔と元気」麦の郷プランの策定を通して

社会福祉法人一麦会 統括部長 鈴木栄作

 麦の郷は45年。50年の節目に向けた新たなプラン作りに取り組みました。麦の郷では5年毎に法人の理念や事業の見直しを図るため、法人全体として中長期の事業計画(「笑顔と元気」麦の郷プラン)を策定しています。今回は、第5次(2023〜2027)プラン策定のため法人内に麦の郷プラン策定委員会(11名)を発足し、議論を積み重ねてきました。

 策定委員は、次世代を担う中堅・若手の職員で「なぜ、私がメンバーなの?一体何をするのか?」大きな戸惑いの中でのスタートでした。和歌山での障害者運動の歴史やプラン作りの意義、平和や日本国憲法の大切さ、麦の郷の実践の素晴らしさや課題などを学び合い共有してきました。委員会では、「麦の郷を勝手に自己評価!?」や「世の中の関心事や矛盾の感じること!?」をテーマに自由なグループワークを楽しみました。コロナ禍での閉塞感がある中で事業所間の枠を越え、久しぶりに対面で話し合える喜びを共感し合うことができました。両グループとも自主的に集まり、コロナ禍で飲みニケーションはできませんでしたが、職場の愚痴も含めた将来の夢につながる議論を行いました。

 昨年10月に委員会のプラン策定に向けた中間報告を提示し、各事業所での将来構想に向けての議論を開始しました。また、今次のプランから法人事業を横断的に捉える観点を強化するため、法人の各部会や各委員会での長期計画の作成を盛り込みました。策定委員がけん引役となり、法人の目指すものに照らし、事業所間の垣根を越え、創意工夫を凝らした議論を展開することができました。

 プランの策定を振り返り、委員からの感想で、「麦の郷という帆は、縦糸=部会(実践)と横糸=委員会(運動)が互いに折り重なり合い、ヒトの要求を受け前進している。この帆をさらに大きく丈夫にしていく下地づくりがプラン委員会の役割と任務だったように思う。さぁ、これをどのようにみんなで実行していくのか、その推進力はプラン策定プロセスで培われた時間に比例するだろう。50周年にむけて次の航海のスタート!」、「知は力なりというように実践の質を高めていくために、社会情勢や、制度の変化、動向を踏まえるとともに、管理者や以前プラン委員として携わってきた方から歴史や理念などを引き継ぐ重要性に改めて気付きました」、「風通しの良い職場づくりは、日々のコミュニケーションをコツコツ積み重ねていかなければ成り立たないと思います。管理者、中堅、若手等のどの立場も協力し合い、話し合うことができる関係性づくりが必要だと思います」と、寄せられました。

 第5次「笑顔と元気」麦の郷プラン(2023〜2027)の冊子は完成し、法人内の全職員に配布され、プランに基づいたさらなる学びや議論を重ねながら新たな5年を紡いでいきます。

 私たち麦の郷は、日本国憲法や障害者権利条約を羅針盤として、全ての人が平和で安心して暮らせる社会づくりのために人の輪を紡ぎ、日々の学びや育みを大切にして、ものづくりを通じて障害のある人と地域の共存を実現するために、50周年に向け、仲間や職員の主体性と風通しの良い職場づくりを大切にした笑顔と元気があふれる麦の郷の実践をより豊かに太らせていきたいと思います。

 最後に、障害や生きづらさなどで悩んでいる方、一人で悩まないで、麦の郷にぜひご相談してください。今後ともよろしくお願いいたします。