ほっとけやん 第218話
わかやま新報2025年5月1日掲載
第19回作業所問題研究交流集会・・・明日からのために
麦の郷居住福祉事業所 城喜貴
3月8日(土)、田辺市の和歌山県立情報交流センターBig・Uにて、和歌山県共同作業所連絡会(略称:わされん)が主催する「第19回 和歌山県作業所問題研究交流集会(以下作問研)」が開催され、120人以上の作業所やグループホーム、相談支援事業所などの福祉事業所職員が参加しました。
作問研は、2002年に第1回目が開催され、その後毎年行われてきたのですが、2020年、世界中に新型コロナウイルスが大流行し、感染予防対策のため止むを得ず中止となってから6年ぶりの開催となりました。
2023年5月にようやくコロナが5類感染症に位置付けられ、みんなが出会える機会が徐々に増えてきました。オンラインで行っていた会議や研修・イベント等も対面で行うことが増え、その前後の空き時間に笑顔で話ができるようになりました。そうして今年度、作問研が企画されました。「久しぶり!」の方も「初めまして」の方もみんな集まってつながり、これから先、互いに支えあえる拠り所になればという願いから、テーマは「再会~みんなでつながりささえあう~」となりました。
午前中は全体会として、優生保護法問題の全面解決を目指す全国連絡会(略称:優生連)の事務局長松本多仁子氏に講演していただきました。テーマは「優生保護法問題について福祉現場から考える」。優生保護法問題について、昨年9月30日の基本合意にいたるまでの経緯や、今も各地で優生思想がもたらした事件が起こっている現実がある社会の中で、障害のある仲間たちの暮らしや労働、生きがいや活動を豊かにするため、障害者権利条約を実現する力が必要であると、講演中に時には涙を浮かべて話される力強い講演でした。
午後は新人、中堅、管理者研修とグループホーム、高次脳機能障害の五つの分科会に分かれて研修を行いました。
各分科会では、仲間の願いや生きてきた背景を踏まえた丁寧な実践のあり方、事業所内外でのつながる力・関係づくり、目まぐるしく変わっていく障害福祉制度の中で法人が生き残るための戦略、1人現場の多いグループホーム職員の実践と交流、中途障害者の方のサービス利用や高次脳機能障害への理解等の課題など、現状のさまざまな課題・問題について交流しながら研修が行われました。
新人研修の中で「みんなと可能性を感じる支援を心がけていきたい」と、参加者が分科会を通して発した言葉がありました。可能性を感じる支援を目指すため、一人だけで考えるのではなく、みんなが出会う場があり、日頃悩んでいることを話し合い、共感し、学び合うことで明日への可能性を育んでいくことが大切です。彼女がそんな気づきを持つことができたかけがえのない場所であることを、改めて感じられた今集会でした。
