地産で新鮮 海外気分も

朝日新聞 朝刊掲載 2022年4月18日(月)

野菜で旅するランチプレート(紀の川)

 紀の川産の野菜をふんだんに使った、いろいろな国の料理を味わえるお店を見つけた。カフェ・ムリーノだ。

 お店は、紀ノ川農協の店舗「ファーマーズマーケット紀ノ川ふうの丘」内に併設されていて、その日の朝に搬入された新鮮な野菜が使われている。目当ての野菜が入荷するとは限らないが、農家が手塩にかけた野菜がしっかりとメニューに生かされている。

 料理のメニューは月替わり。旅行気分で食べてほしいと「野菜で旅するランチプレート」と名付けた。今月2日〜5月8日は台湾料理。大きなプレートに並べられていたのは、スパイスを利かせた豚の角煮が入った魯肉飯に、ニンジンやラディッシュなどを素揚げにしたサラダ、台湾屋台で人気のネギピザと呼ばれる葱油餅など7種類。店をプロデュースしたスパイス料理研究家の立畑千賀子さん(48)が海外で出合った味をレシピにしている。「台湾では朝から晩まで食べ歩き、その味を再現した」と話す。

 経営するのは、近くの農産加工などの社会福祉法人・一麦会の「ソーシャルファームもぎたて」代表の中原力哉さん(38)。ふうの丘で使われていなかった空き部屋を活用できないかと仕事を通じて知り合った立畑さんに打診。立畑さんが2014年秋にこの地を初めて訪れると、「周辺は柿の木のオレンジ色に染まっていた。すてきな小さな丘でおしゃれなカフェのイメージがわいた」と翌年春にオープンさせた。これまでお店ではインドやモロッコ、イタリア、中東の国々と、20カ国ほどの料理を提供してきたという。ホールスタッフの西山翔さん(27)の丁寧な接客と笑顔が人気でリピーターも多いそうだ。

 立畑さんは紀の川産の野菜が気に入っている。「スーパーには出回らない規格外の商品が農協には並んでいる。見た目は悪くても味は抜群。生産者の名前もついていて親しみがわくし、売れ残れば生産者がその日のうちに引き取ってくれるので、常に新鮮」

 スタッフには紀の川市出身者はいない。それでも料理には、紀の川の野菜のおいしさを広めたい思いが詰まっている。

 今後の「野菜で旅するランチプレート」は、5月9日〜6月5日はメキシコ、6月6日〜7月4日はタイを予定している。(高田純一)

 カフェ・ムリーノ(cafe・mulino)紀の川市平野927の「ファーマーズマーケット紀ノ川ふうの丘」内。電話0736・75・9077。営業時間は午前11時〜午後5時。火曜日は定休。野菜で旅するランチプレートは1200円(税別)。

          ランチプレートには台湾料理がこんもり